拝啓 佐藤錦さま

雨が小止みになった午前9時半、わたしたちは、でんでんむしむしを探す旅に出ました。
本当なら、文明の利器・ジムニーでイオンへという、オフロード好きな泥んこ“ジムニー乗り”な方々が顔を真っ赤にして怒りそうなプランを立てていたのですけれど、うちげのお砂場好きに却下されました。

「あれ?今日はおともだち、いないなぁ」
と、こぼすは小とんがり。
つかね、こんな肌寒い雨確実な日にカッパ&傘で公園来る物好きは、普段の習慣である散歩をやめられない老人か、普段の習慣である散歩をやめられない幼児のどっちかなもんですよ?

小とんがりが地面に絵を描いたり、お店屋さんごっこをしたり、奇妙な踊りを踊ったり(わたしのMPが1さがった!)するのにつきあいながら、ふと、思いました。
絶対まずいとはわかっているけれど、そういやあ、わたくし、ソメイヨシノさくらんぼ食べたことなくね?

子供の頃の記憶を掘り起こしてみても、食べたことない気がするです。
すっぱいと思っているのは、ただの思いこみなんじゃなかろうか?
これがどう品種改良され、あのお高い佐藤錦になったのか、身をもって知ってみたい。
どうせ、毒あるわけじゃなし。

小とんがりに見つかると、ぼくも!ぼくも!とねだられます。
さすがに2歳児にはハードルが高い半野生の果実。熟れてそうなところをこっそりいただきましたところ…

すっぱ苦!

なんとも言えないえぐみが、瞬時に口いっぱいに広がりましたよ?
酸味より先に口いっぱいに広がる苦み。こんな小さいのに、やりやがります。

子供の頃、干し柿作りの際に渋柿をかじったことがあるのですが、あのときは柿特有の甘みの後に果てしない渋みが続き、難儀したことは難儀したのですけれど、案外、なんとかすればいけるかもと希望が持てたものでした。

いやー、さくらんぼはないわ。
これは、ない。
ひとつ、勉強させたいただきました。
小とんがりよ、君が遊んでいる陰でこんなことをやるような親でごめんなさい。

@雨の公園