畳の夏

極々普通のありきたりな家に育ったわたしの永遠の憧れは、ずばり、団地暮らし。団地の一軒家、あるいは団地のマンションが憧れでした。

区画整理の行き届いた道路。綺麗な公園。同じような家族構成の核家族。何を見ても新しくて生活感が薄く、どこを向いても同じような風景に迷子になりそうな錯覚を起こす夕暮れどき。

あの小綺麗な印象がうらやましくて、うらやましくて仕方ありませんでした。しかも、新興の団地は大概が山の手で、駅からはバスに乗って帰るというのも憧れポイントでした。

団地の部屋にはフローリングしかないと固く信じていたわたしは、90%が畳の我が家にため息をついたものです。
大人になったら、非畳の家に住んでやる!

そう思っていたのに、今の家はオール畳、100%畳です。
せめてあの夢を…!と、茶の間はいつか洋室に改造する宣言をして早1年立ちますが、予想通り、全然手をつけていません。
改造前提だったので畳表も替えておらず、毛羽だった畳のくずがいろんなものについて忌々しいったらありゃしません。

そんなわけで応急処置としてい草シートなるものを買ってきて敷いてみたんですが、これがなかなか具合がいいじゃあありませんか。
小とんがりも「きもちいー」と寝転んでおります。

なんだか大満足して終わりそうな気がしないでもないですが、わたしは負けません。
目指せ、団地暮らし。
これを合言葉に頑張ります。