歯痛殿下、暴れる

歯医者に行けば全て解決、ああ、訪れる薔薇色の生活。そんな風に思っていた時代がありました。ええ、ありました。
夕方から腫れた頬は更に痛みを増し、何をしていても痛い。とにかく痛い。
水木しげるのイラストでは、歯痛殿下は寝ている子供の顔を覗き込み、軽く口の中に指を入れて、ちょいちょいっと歯をいじっている感じでした。今のわたしの状態はそんな生優しいものじゃあなく、口の中に手をぐぐっと突っ込んで、歯をがたがた言わされているようなそんな感じ。殿下は陛下になってしまったのですね。
2人きりの寝室で栗頭先生を寝かしつけながら、あまりに痛いので声を張り上げて泣いてみました。つられて号泣する栗頭先生。痛いのはこっちだと号泣するわたくし。寝室は地獄絵図です。
もし、今、悪魔がやってきて「痛みを取り除いてやるけど、子供の体重が2kg増えちゃうよ。それでもいい?」と聞いてきたとしたら、喜んで2kg増やしてもらいます。ええ、悪魔にだって差し出してしまうようなひどい女なのです。全ては痛みのせい。
今はツボを押すことに一縷の望みを託しています。東洋医学よ、よろしく頼みます。